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- 膝の痛み
こんな症状はありませんか?

膝関節の周りに痛みが生じる疾患は多く、症状や原因は人それぞれ異なります。
以下のような症状を感じたら、早めに受診するようにしましょう。
- 平らなところを歩くと膝が痛む
- 階段の上り降りをすると膝が痛くなる
- 膝の裏側が痛い
- 膝の内側が痛い
- 寝る時に膝が痛む
など
膝の痛みの原因

中高年の膝の痛みの主な原因のほとんどが「変形性膝関節症」です。この病気は、膝の関節軟骨がすり減ることで、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)がぶつかり合い、痛みや変形を引き起こします。
変形性膝関節症の要因には、半月板や靭帯の損傷が含まれます。半月板は膝関節のクッションの役割を果たし、靭帯は膝を安定させる働きをしています。しかし、スポーツなどでの怪我や加齢による「変性断裂」によって、これらが損傷することがあります。特にO脚気味の人は、内側の半月板に負担がかかり、変性が進みやすくなります。悪化すると、関節の横側や後ろ側に半月板がズレたり飛び出すこともあります。
このように、膝の動きが滑らかでなくなり、半月板や靭帯の機能が低下すると、関節に余分な負担がかかり、軟骨の損傷が進んで変形性膝関節症を引き起こすと考えられます。
膝の痛みを引き起こす代表的な疾患
変形性膝関節症
大腿骨と脛骨の表面を覆う軟骨組織がすり減ることで発生する進行性の疾患です。病状が進行すると、膝の曲げ伸ばしがスムーズに行えなくなり、正座が困難になります。立ち上がりや階段の昇降時に痛みを感じる頻度が増し、日常生活に支障をきたします。さらに進行するとO脚やX脚が現れ、歩行能力が低下し、日常生活がますます困難になります。
大腿骨内顆骨壊死症
膝に負担がかかった際に激しい痛みを感じることで発見されることが多い疾患です。大きく分けて2種類があり、原因が明確に特定できない「一次性大腿骨内顆骨壊死」と、膠原病やステロイド投与など明確な原因がある「二次性大腿骨内顆骨壊死」に分類することができます。主な症状は「膝の内側に感じる痛み」です。これは変形性膝関節症と似ていますが、より強い痛みが特徴です。ただし、大腿骨内顆骨壊死は大腿骨の内側で壊死が発生する疾患です。早期に診断されれば、手術以外の治療法(保存的治療)が選択できる場合もあります。
膝半月板損傷
膝に強い衝撃が加わることで、膝関節内の半月板が欠けたり亀裂が入る状態のことです。半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間に位置する線維軟骨で、膝の内側と外側にそれぞれ存在します。主に体重の負荷を分散させたり、衝撃を吸収する役割を果たしています。この疾患は、高齢者だけでなく若い人にも見られ、我慢してしまうと「変形性膝関節症に進行する可能性」があります。
靭帯損傷
半月板損傷と同様、スポーツをしている方がよく発症する疾患です。膝関節には前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの靭帯が存在します。これらの靭帯は膝の前後左右の動きや、ねじれに対してストッパーの役割をしています。靭帯損傷は、交通事故やスポーツの最中に「急な方向転換」「ジャンプの着地」などの動作で起こることがあります。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)
その名の通り、ランニング中に多く見られる症状です。腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは、骨盤から膝に向かって伸びている靭帯のことです。膝の屈伸運動を繰り返すことで、大腿骨の突出部分(外顆)と腸脛靭帯が摩擦し炎症を起こし、痛みが発生します。発症の要因はオーバーユースです。過剰なランニング時間と距離、柔軟性補足(ウォームアップ不足)、休養不足、硬いシューズなどさまざまな要因が加味されます。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝を使いすぎることで膝蓋腱や大腿四頭筋腱に炎症が生じ、痛みが出る疾患です。この疾患はスポーツに関連しており、特にバレーボールやバスケットボールなどのジャンプや着地動作を頻繁に行ったり、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツに多くみられるオーバーユースに起因します。
膝の痛みに対する治療法・リハビリ
変形性膝関節症
症状が軽度の場合は、痛み止めの飲み薬や外用の湿布薬、塗り薬を使用したり、関節内にヒアルロン酸を注射して炎症を和らげたりすることがあります。また、運動療法(リハビリテーション)では、大腿四頭筋を強化する訓練が膝の痛みを軽減する効果があります。膝を温める物理療法や、膝を安定させるための装具(サポーター)の使用も考えられます。
これらの治療法で改善されなければ手術治療を行います。手術には、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する方法)や人工膝関節置換術(人工関節に置き換える方法)などがあります。
大腿骨内顆骨壊死症
治療法は保存的療法と手術療法に分かれます。重症度や年齢、ライフスタイル、基礎疾患に応じた治療選択を行います。
保存的療法では、膝に負担をかけないようにし、インソールやサポーター、松葉杖を使用します。痛みを緩和する目的で薬物療法を行い、痛みの症状に合わせてリハビリや運動療法で筋力強化を図ります。
また、手術療法は、保存的療法が効果を示さない場合に検討されます。症状や重症度に応じて、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術から選択いたします。
半月板損傷
半月板損傷の治療法には、保存療法と手術療法があります。保存療法では、安静、抗炎症薬、リハビリテーションが行われます。症状が続く場合には手術療法が検討されます。
手術療法は、MRI検査後、損傷部位や程度をみて自然治癒が難しい場合に選ばれます。手術には、損傷部分を切除する半月板切除術と、縫い合わせる半月板縫合術があり、関節鏡を用いた鏡視下手術が行われます。
靭帯損傷
靭帯損傷の治療には、保存療法と手術療法があります。治療法の選択は、損傷部位や程度、半月板損傷の有無、不安定性、スポーツへの復帰などに基づいて判断されます。軽度の損傷や不安定性が小さく、日常生活に大きな支障がない場合は、保存療法が選ばれます。装具による固定、リハビリテーション、痛み止めの内服や注射を行い、痛みの軽減を図ります。
後十字靭帯や内側側副靭帯の損傷は、前十字靭帯損傷に比べて不安定感が少なく、血流が良いため、保存療法で治癒することが多いです。一方、前十字靭帯損傷には「靭帯再建術」が行われ、内側側副靭帯の単独損傷には手術は少なく、複合損傷の場合には「靭帯縫合術」が行われます。リハビリテーションでは、大腿四頭筋の筋力強化やストレッチ、動作指導を行いながら改善を図ります。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療は基本的に保存療法です。炎症時(痛みが強い時期)はランニングを中止し、原因を特定して再発防止に努めます。トレーニング方法やシューズの見直し、大腿筋膜張筋など股関節外側部を主としたストレッチが推奨されます。加えて、大腿骨膝外側部の圧痛部位を冷却すること、湿布や消炎鎮痛薬の使用も有効です。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝蓋腱炎の主な治療法は保存療法です。痛みの程度によって治療が異なりますが、最近では予防・再発防止に装具の使用が勧められています。スポーツ現場では痛みの程度に応じて運動制限を行い、リハビリテーションや、注射療法も平行して行います。症状が強い場合は膝関節の安静、ストレッチ、アイシングが推奨され、負荷耐性の向上に焦点を当てて段階的に進めます。
膝の手術について
当院では膝の痛みなどの疾患に対して豊富な手術実績があります。
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